Q、未成年者が相続人になる場合に必ず特別代理人を選任しなければならないでしょうか?

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別のQAにあるとおり未成年者が相続人となる場合、遺産分割協議をする為には未成年者1人につき、それぞれ家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要があります。裏を返せば遺産分割協議をしなくて済むのであれば特別代理人の選任は必用無いという事です。実際に扱った事例を挙げると、30代夫婦に2歳の息子がおり、マイホームを夫名義で所有中に不幸にも夫が事故で亡くなってしまったケースがありました。

 

相続人は妻と2歳の息子となり、相談に来られた妻は特別代理人選任が必要になるとの認識で手続きを依頼に来られました。話を聞くと不動産以外に大きな財産は無く、不動産の名義変更が目的との事であるので、法定相続分での登記(本事例では妻・子2分の1づつ)を選択肢の一つとして提案しました。

 

法定相続分とは文字通り法律で定められた相続分であるので、この法定相続分で登記する際にはそもそも遺産分割協議をする必要が無い為、登記申請書に遺産分割協議書をつける必要も無く、相続人の印鑑証明書さえ不要です。

 

子供が未成年者ですので妻が親権者として子を代理して登記申請が出来ます。当初、妻の考えていた特別代理人選任特別代理人との遺産分割協議登記申請の流れからいうと法定相続分での登記はいきなりの登記申請から行えるという事です。結果、時間も費用も節約できる事となります。

 

では法定相続分での登記にデメリットは無いのか?が気になるところです。

相続人の数が多い場合はおすすめ出来ません。きちんと遺産分割協議を行い、なるべく不動産の名義は分散しないようにするべきだからです。

 

今回の事例では未成年者が妻と共に登記名義人になります。この事が不都合を生じさせるか?ですが、実際今回のケースでは母・子の2人で一戸建てに住み続けるには不便もあり、マンションへの住み替えを考えておられるとの事で一戸建ての売却が予定される事案でした。

 

そうなると売却の段階で未成年者が売主となる訳で、不都合は無いのか?を検討してみると、売却について母が子の法定代理人として契約をする事ができ、第三者に不動産を売却する行為は母と子の利益相反行為にもあたらない為、売却について特別代理人選任の必要もありません。売却で得た代金も子供の持分につき母が法定代理人として管理し、子供の為に使っていく分には問題ありません。