Q、印鑑証明書の有効期限の限界にチャレンジ

 

一般的に大事な契約書を交わす際には契約書に実印で捺印した上、印鑑証明書の添付を求められることがよく有ります。
不動産の取引は最たるもので、売買の契約・住宅ローンの申込み・登記の各段階で印鑑証明書を要求される事が普通です。提出する印鑑証明書には有効期限が定められていますが、これは発行した役所が決めた期限ではなく、
印鑑証明書の提出を求める提出先が定めた期限です。

 

提出先が法務局で登記に使用の場合、法律で3ヶ月以内に発行された物を提出せよと定められていますが、登記の種類によっては3ヶ月以内で無くとも良いものもあったりします。意外だと思われるかもしれませんが、相続の登記で遺産分割協議書に付ける印鑑証明書は3ヶ月以内で無くとも良いケースの代表です。

 

ですから相続人の数が多く、遺産分割協議書が完成するまでに時間を要する場合、最初の方に印鑑を貰った方の印鑑証明書が3ヶ月を過ぎてしまっていても相続登記手続きでは問題なく使用出来ます。提出先が銀行等の民間の場合は提出先の銀行が有効期限を決めている訳です。


通常、印鑑証明書の有効期限は3ヶ月と定められることが多いのですが、ここからが本題です。

では、3ヶ月とはいつからいつまでなのか?普通は印鑑証明書を求められたら2,3日後には役所に取りに行ってすぐ提出する事となるので、有効期限を気にすることも無いですが、今回は有効期限の限界にチャレンジしてみます。
例えば、1月12日に発行された印鑑証明書の3ヶ月の有効期限は4月12日です。これは当たり前と思われるでしょう。では2月28日(閏年で無い場合)発行の場合は?

答えは5月31日です。

 

何故かと言うと民法という法律に期間の数え方について定められており、期間が日、週、月、年を単位とするときは、期間が午前0時から始まるときを除き、初日は算入しないのが原則なのです(民法140条)。2月28日発行の印鑑証明書は初日不算入により3月1日が起算日となり、月の初めから期間を計算するので、3ヶ月といえば3月、4月、5月の丸まる3ヶ月なので5月31日が期限になるという事です。


もう一つの例として3月30日発行の場合はどうでしょう?3月31日が起算日となり3ヶ月後の6月31日が期間となりそうですが6月は30日迄ですから6月30日が期限となります。


今回のテーマでポイントがもう一つ、期間の満了日が休日の場合には、その翌日が満了日となります(民法142条)したがって満了日が土曜日(役所がやっていないので休日扱い)、日曜日の場合には、月曜日が満了日となり、更に月曜日が休日の場合は火曜日が満了日となります。


ですから先に例を挙げた、2月28日発行の印鑑証明書の期限である5月31日が土曜日であったらとしたら、月曜日の6月2日が期限となり、5月28日迄が期限だと誤った理解をしている(多分誤った理解をしている人のほうが多い)場合より5日も伸びることとなります。


ですが、こんなチャレンジはせず、印鑑証明書は取得したらすぐに提出先へもって行くのが何よりです。