Q、兄弟姉妹の戸籍謄本取得の難しさとは?

 

戸籍法第10

戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者を含む。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。

 

要約すると、戸籍証明書を請求できる人の範囲は

戸籍に記載されている人

②(戸籍に記載されている人の)配偶者

③直系尊属(父母、祖父母など)

④直系卑属(子、孫など)

(同じ戸籍に記載されていない)兄弟姉妹、おじ、おば、おい、めい は該当しません。

 

最近では少子化、晩婚化の為、亡くなった方にお子様が無く、第三順位の相続人である兄弟姉妹が相続人となるケースも多くなってきているところです。

 

例として、兄が亡くなり子供がおらず、親も死亡している為、弟が相続人となる場合を想定して、誰が兄の戸籍謄本を取得できるのか?以下に3つのケースをあげてみます。

 

兄に配偶者がいれば配偶者が弟と共に相続人となり、兄の戸籍謄本は配偶者が取得すればよいので問題は生じません。

 

兄は結婚したことが無く、死亡するまで親の戸籍に入っていた場合は、弟が上記の立場で親の戸籍謄本を取得する事が出来ます。結果として兄も親と同じ戸籍に記載がされているので問題は生じません。

 

Ⅲ兄は結婚していたが配偶者に先立たれてしまっている場合、に問題が生じます。

 

の場合上記の立場に該当する人が一人もいません。

この場合に弟が兄の戸籍謄本を請求する為には、第三者請求という特別な方法で請求する事になります。

役所から見ると、赤の他人が誰かの戸籍を請求するのと同じ取り扱いなのです。

個人情報が叫ばれる昨今、全く関係のない赤の他人が戸籍を請求する場合と同じぐらい大変なことなのです。

戸籍に記載されている以外の人(第三者)が請求できるのは、使用目的が正当な理由に該当する場合に限られています。

 

ですから、相続手続きなどの権利行使のために必要という正当な理由がある限り、兄弟の戸籍謄本も取得できるということにはなります。

この場合、第三者請求の理由を明確に請求書に記載する必要が有ります。また、正当な理由を裏付ける資料の添付も求められます。

(請求理由の例)
私〇〇の兄である
△△が平成 年 月 日に亡くなり、遺産相続が発生しました。
相続人間で遺産分割協議をするにあたり、被相続人
△△の法定相続人全員を確定するため、私の兄である△△の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。
続いて、遺産分割協議成立後、被相続人の遺産である不動産の相続登記のため、横浜地方法務局相模原支局に添付書類として戸籍を提出する必要があります。

請求を裏付ける資料として考えられるものは、弟の戸籍謄本のコピーは必ず必要と言って良いでしょう。親の戸籍謄本(親の死亡と子供として兄弟が記載されている物)も手元にあればコピーを付けます。

そもそもの問題として、請求書には兄の本籍地を記載することになりますが、弟が兄の本籍地を知らないと請求のしようもなくなります。

 

司法書士には戸籍等の職務上請求権がございますので戸籍謄本の収集から登記手続きまで一手にお引き受け致します。たとえ、亡くなった方の本籍地が分からなくとも、本籍地入りの住民票除票等を職務上請求にて取得する事で本籍地を特定することも出来ます。

 

特に第三順位の相続人である兄弟姉妹が相続人になるケースでは集める戸籍も多岐にわたり、ご依頼いただくメリットを感じやすいのではないかと思います。