Q、相続に関わる専門家の相関関係ってどうなの?

 

相続の専門家を謳う、国家資格者(~士)はいくつか有り、それぞれの士族団体間で「争族」の様相を呈しておりますが、相続の発生により遺産に不動産が含まれているのなら、まよわず司法書士に依頼してください。

 

司法書士と行政書士

むかし、社会科の授業で習った、三権分立の話からする訳ではないのですが、成り立ち、名称からして似ている兄弟のようなものではあります。しかし、実際にはあまり仲の良くない兄弟といったところであったりします。

両者には職域問題があり「登記」は司法書士の専門業務なのですが、「相続専門」を謳う行政書士事務所の中には、登記まで業務内容に含んでいるかの如くワンストップを掲げ、実際は登記業務を司法書士に外注し、その分別途費用が発生する旨小さく書いてあったりします。

遺産に不動産が含まれているのなら、まよわず司法書士に依頼してください。

 

司法書士と税理士

相続税の申告が必要な「相続」では税理士の出番となります。

先ず、相続税の申告対象かを確認してから税理士にお願いするのが良いでしょう。先に司法書士に相談して遺産分割協議書を作成する過程で亡くなった方の遺産をピックアップしていくと、遺産の合計額が相続税の基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)の範囲以内かどうかが解ってきます。

明らかに基礎控除の範囲以内であれば、税理士の出番はありません。

 

相続税の申告が必要であれば、司法書士に税理士を紹介してもらうと良いでしょう。相続税に強い税理士を紹介してくれる筈です。司法書士と税理士は日頃から業務の補完関係が多く、提携関係を結んでいる事が多いからです。

税理士は相続の業務中、登記業務を司法書士に依頼してきますので、司法書士は、その税理士が相続税の申告を得意としているかどうかを知っているのです。

 

司法書士と弁護士

紛争性のある「相続」は弁護士の得意とするところです。

弁護士は代理人として相手方との折衝・交渉が出来ます。司法書士には出来ません。「現に揉めているか、揉める事が予想される」のであれば、初めから弁護士に相談する方が良いかもしれませんが、費用がネックになることも事実です。そこで、司法書士をサポート役として、ご自身で相手方との交渉を進めていく方法があります。遺産分割協議において当事者間の話し合いがつかないのであれば、通常は家庭裁判所に対し調停の申し立てをすることになります。

 

家庭裁判所に提出する調停の申立書を含め、裁判所提出書類の作成は司法書士の業務範囲ですので、サポートとしては十分です。家庭裁判所の遺産分割調停では弁護士をつけた場合であっても、依頼者本人の出席が要求されるのが普通です。調停の期日には第三者である調停委員が間に入り、双方の主張を聞き、着地点を探ります。調停は話し合いの席といえるので、司法書士のサポートがあれば不足なく、ご本人で進めていける手続きといえるでしょう。

 

ちなみに、紛争解決を弁護士に依頼した場合にも最後の登記手続きは弁護士事務所から司法書士に依頼がされることが多いので、司法書士と弁護士も提携関係が結ばれていることが普通です。司法書士に相談した際、弁護士に依頼した方が良い案件は、提携している弁護士を紹介してもらえることになるでしょう。